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「ほら、ヒカル。味噌汁だけでも飲んできな」
「そんな余裕ないよ。いってきます!」
朝ごはんを食べる暇もなく家を飛び出し、駅へと向かう。
昨日の夜、友達と遅くまでチャットしてたせいで、見事に寝坊した現在時刻は、ちょうど学校のチャイムの音が鳴ってる頃。
私が瞬間移動でもしないと間に合わない。
『間もなく、三番線に列車参ります。白線の内側に……』
「うわぁ、待って待って、待ってってば~!」
朝方とはいえ、普通しか停まらない最寄り駅は、妙に列車の時間が空くタイミングがある。
それが今だ。
これを逃したら、暫く列車は来ない。
『列車、遅れまして申し訳ありませんでした。
北皆川行き、扉締まります』
「うわぁぁぁ!」
もう、無我夢中で自分が叫んでる事すら気付かず、列車に突撃した。
目の前で無情にも閉まりかけた扉だけど、それより一足早く、その隙間にバッグを滑り込ませ、扉は完全に閉まることなく、再び開く。
ーー良かった。元々遅れてたおかげで、ギリギリ間に合った。
一度扉が開けば、他にも無理矢理乗り込むお客が集まってくる。
そうして、列車はさらに遅れて駅を出発した。
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