第1章

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「ほら、ヒカル。味噌汁だけでも飲んできな」 「そんな余裕ないよ。いってきます!」 朝ごはんを食べる暇もなく家を飛び出し、駅へと向かう。 昨日の夜、友達と遅くまでチャットしてたせいで、見事に寝坊した現在時刻は、ちょうど学校のチャイムの音が鳴ってる頃。 私が瞬間移動でもしないと間に合わない。 『間もなく、三番線に列車参ります。白線の内側に……』 「うわぁ、待って待って、待ってってば~!」 朝方とはいえ、普通しか停まらない最寄り駅は、妙に列車の時間が空くタイミングがある。 それが今だ。 これを逃したら、暫く列車は来ない。 『列車、遅れまして申し訳ありませんでした。 北皆川行き、扉締まります』 「うわぁぁぁ!」 もう、無我夢中で自分が叫んでる事すら気付かず、列車に突撃した。 目の前で無情にも閉まりかけた扉だけど、それより一足早く、その隙間にバッグを滑り込ませ、扉は完全に閉まることなく、再び開く。 ーー良かった。元々遅れてたおかげで、ギリギリ間に合った。 一度扉が開けば、他にも無理矢理乗り込むお客が集まってくる。 そうして、列車はさらに遅れて駅を出発した。
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