第1章

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考えすぎて頭痛くなってきた。 よし、寝よう。これは悪い夢だ。起きたら何もかももとどおりだ。そうにちがいない。 目をつぶり、きしむベッドに寝返りをうつ。 しばらく寝返りをうちつづけていると、枕元に何かの気配。 恐る恐る目を開けると、ベッドの横に金色のゴリラが座って鼻をほじっていた。 「……」 何も言えない僕に構わず鼻をほじり終わると、ゴリラはこちらを見据えて言う。 「夢じゃねえから。」 指先についた輝く鼻くそをはじき、金色のゴリラは消えた。 当然のごとく、僕もゴリラ。 これは悪夢じゃない、地獄だ。 よし、いっそ死ぬか? …いや、やめとこう。 叶えたい夢も、描いた未来もつかまないで死んでたまるか。 それに死体の処理が厄介すぎる。 最悪両親が捕まる。 ワシントン条約的なもので。
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