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「これ貰っていいかしら?」
ヒルダと名乗る女の子は、サソリの尻尾を小脇に抱えて聞いてきた。
「あぁ、全然いいよ。薬草をくれたお礼だね」
僕がそう返事すると、ヒルダは人差し指を口元にあて、何かを考えるような表情を浮かべながら話を続ける。
「本当はあんたに薬草なんてあげてもしょうがないし、この尻尾だって勝手に貰っちゃえばいいのよ。それに、もしもあんたが村人だったら、身ぐるみ剥いで荷物を奪うのがあたしの仕事なの」
「まっ、まぁ森の盗賊だって言うんだからそうだろうね」
「あんたはレベル1のへっぽこ戦士だし、その鉄の剣と合わせた攻撃力ぐらい、あたしなら余裕で対応できる。こう見えても盗賊レベル16だかんね」
「えっ、まさか僕も身ぐるみ剥がされるのかな?」
「二択よ。身ぐるみ剥がされるか、あたしとパーティーを組むか」
「なにそれ、パーティーを組むってどゆこと?」
「ふふっ、手ごろな戦士が来るのを待ってたのよ。まさかレベル1が来るとは思ってなかったけど、でも何とかゴールまで行ける可能性はあると思う」
「ゴールって何?」
「ミニドラゴンよ!」そう言って、ヒルダはバッグから短い剣を取り出した。
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