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「あ、あの……本当にすみませんでした」
額が膝につくんじゃないかというほど頭を下げる二人組。
俺は間一髪のところで無傷だし、彼らだってワザと暴投したわけでもない。
申し訳なさそうな表情で謝る彼らを許さないわけにはいかないので、「あぁ。今度からは気を付けて」と言ってやり、自分の危機を救ってくれた女子高生に、「君の一言で助かったよ。ありがとう」と会釈した。
「いいえ。お怪我がなくて良かったです」
にっこりと笑って手を振る彼女に、手を振り返して背を向ける俺は、三人の前では平気なフリをしていたが、未だに早鐘を打つ胸を押さえ、「ぶつからなくてよかった」と、大きく息を吐いて立ち去った。
残された三人が、その場で小さな舌打ちをしていたことも知らずに。
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