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「嬉しいけど、城崎くんにそんな行動力があるとは思わなかった」
そう言った彼女はお酒を1口口に入れた。
「城崎くんって、死ぬ時のこと考えたことはある?」
「……無いわけじゃないけど。交通事故で死ぬのは嫌だな、とか。」
「ふふ、確かにね。……そっか、その程度か。」
「星野さんはそんなに深く考えるの?病気でもしたの?」
高校生の頃から不思議な人ではあったが、まさか死の話をされるとは思っていなかった。
学生の頃の僕には、彼女は輝かしい毎日の中にいる人間に見えていた。
そんな人が、こんなにも暗い話をするとは思っていなかった。
だからこそ僕は、命に関わる病気にでもなったからこんな事を言い出したのだと考えたのだ。
「ううん、そうじゃないけど……一つ、君に質問しても良い?」
「そう、ならよかった。どうぞ。」
「同じ時間を生きてきた人間が2人居るとするでしょう、生まれた時間も今まで生きてきた時間も同じなの。でも1人は病気で残り5年しか生きられない。もう1人は健康体で、そうね、80が寿命だとしましょうか。君はこの2人の人生に価値を付けるとしたら、二人の残りの時間、どちらの方が重いと考える?」
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