殺害依頼

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僕は自分に置き換えて考えてみた。 一人の僕は今から5年しか生きられない。 きっと焦るはずだ、人生をもっと、毎日をもっと大事に生きようと思うはずだ。 もう1人の僕は健康体のまま年を重ねることができる、つまり現段階の僕なわけだ。 僕は当然のことのように、残り5年の時間が重いと答えた。 世間一般でも、余命宣告を受けて残りの時間が少ないという人の人生は、とても重く感じるだろう。 それが普通のことであり、至極当然のことだった。 そんな僕の考えを聞いた彼女は、横に首を振った。 「だから城崎くんは駄目なのよ。」 「駄目?」 「答えは同じ、だよ。病気をして5年の命の人も、五十年生きられる人も、命の重さに変わりはないのよ。君自身さっき言ってたでしょ、交通事故では死にたくないって。誰だっていつ命を落とすのかなんて分からないの、もしかしたら五年後かもしれないし明日かもしれない。寿命を全うして息を引き取るのかもしれない。誰もが人生なんて綱渡りよ、誰だって残りの時間がどの位なのかは分からない。誰もが毎日を大事に生きていかなきゃならないの。」
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