殺害依頼

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「あんな奴のどこが良いんだ」 そんな人に対して、彼女は同じ答えを繰り返した。 「城崎くんの良さに気付けないだなんて、可哀想な人達。」 同じ事を問う僕にも同じ答えをくれた。 「君の良さに気付けないだなんて、可哀想な城崎くん。」 今でも、そこまで僕の良い部分を見ていてくれたのは彼女が1番だと思っている。 城崎くん。星野さん。 僕等はお互いをそう呼びあった。お互いに名前を呼ぼうとはせず、名字を呼ばない場合でも"君"などと呼び合った。 恋人になってから、特に何も変わっていないと思っていたが、以前よりも彼女という人をよく知ることが出来た。 彼女はとても綺麗な字を書く。けれど書き順は滅茶苦茶だった。 彼女は運動神経が良く、何のスポーツでも出来た。けれど何もないところでよく転ぶような子だった。 彼女はよく喋る。けれど、自分の話は僕にしかしなかった。 彼女はいつも笑っている。でも僕の前では泣くこともあった。 彼女は何でもできる人だと思っていた。誰にでも好かれて、誰もの憧れで。 でも彼女は完璧ではなかった、彼女も同じ人間で、思ったよりもドジで、短気で、だらしのない女性だった。 それでも僕は以前よりも彼女が好きになった。
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