殺害依頼

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当然、園田さんは理由を聞いてきた。 しかし彼女の話をすると、涙の溜まった笑顔で送り出してくれた。 こんなにも最低な男に、"バカ"と二文字の説教をして。 あんなにも心優しく誠実な女性は、園田さんただ一人にしか出会えなかった。 後に聞いた話だが、園田さんは別の男性とお見合いをしたらしい。 写真で見た彼女の子供は、何処かで見たことのあるような男の子だった。 幸せになっていてくれれば、僕の気持ちも救われるのだが。 さて、手紙一枚で上京してしまった僕は、それは大変な思いをした。 住む所や仕事を、知り合いのコネや親からの仕送りで何とか、という感じだった。 それでも周りに手を伸ばしてくれる人間がいる居たのは、とても幸せな事だったと思う。 彼女と再会したのは、上京して2年のたった28歳の頃だった。 普通に、ごく普通に街で再会したのだ。 驚きすぎて声が出なかったのだが、久しぶりに目にした彼女は相変わらず綺麗でいて、大人になっていた。 悪戯っ子のような笑顔は変わっていないようだった。 「……城崎くん?」 「星野さん……」 「やぁだ、城崎くんったらすっかり格好良くなっちゃって!」 あの頃よりも少し大人びた口調で、僕のことを褒めてくれた。 その日の夜は、友人として2人でアルコールを口にした。どこにでもあるような居酒屋だった。 彼女と一緒に晩酌している未来など、あの頃の誰が想像しただろうか。 僕は彼女に手紙の事を訪ねた。 そして、手紙がきっかけで上京した事も伝えると、彼女は大笑いした。
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