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オーラがとても綺麗な青年だ。
彼がどんな地に落ちたとしても、その艶やかな黄金色の輝きは天にも届きそうだ。
ナヴァルは、ジアの魂が欲しいと思った。こんなにも欲しいと思った人間は、初めてかもしれない。
御馳走にする為ではない。この桜の木に、永遠に縛り付けておく為だ。
ジアのオーラを身にまとったこの桜の木は、一段と美しさを増すだろう。
ナヴァルはジアを生かして観察することにした。
雪の降る日の昼過ぎ、ジアは一人で丘にやってきた。
何か探し物をしているようだ。
ナヴァルは久しぶりに桜の木から出て行くことにした。
器は、本来の自分の姿だ。
本来の姿も気に入っている。暗黒の瞳を縁取る切れ長の瞼、それとは対照的な白い肌、真っ黒な艶やかな髪、ほんのりと紅色の唇。
背中に大きく伸びた漆黒の翼も大いに気に入っていたが、桜の中に置いてきた。
「やぁ」
話しかけてみる。
ナヴァルを振りかえったその瞳は、空のように深く青く輝いていた。
「何か探しているのか?」
「こんにちは」
ジアが微笑みかける。
「友達が…ここで、母親からもらった指輪を落としたらしくて…でも、あった」
ジアは嬉しそうに、ナヴァルに指輪を見せた。
友達…すなわち、子供たちのことだろう。
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