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ナヴァルはジアのオーラを手に入れるまでの我慢だと自分に言い聞かせた。
攻撃することによって自分を表現したい人間ならいくらでもいる。
ナヴァルはカナンを膝の上に乗せた。
カナンは嬉しそうだ。
「この子はすぐに叩くんだ」
ジアはカナンの頬を両手で包んだ。
「誰かに構ってほしいんだ。それに、珍しいんだろう、俺が…」
ナヴァルはカナンの頭を撫でた。
「君は子供に好かれる才能があるみたいだ」
悪魔にそんな才能は無い。
ジアはおかしなことを言う。
少し笑った。
その様子を、ライラはじっと見つめていた。
桜の木の中で、ナヴァルは何度もジアのオーラを思い返してみた。
間近で見ると一層輝いて見える。金色だったと思った色は、時々星のように瞬いて見えた。
心から、あの魂が欲しいと願った。
もうすぐだ。
もうすぐジアは呪いのかかったコートを羽織り、自らナヴァルの元にやって来る。
外から人間の声がしたが、ジアのことで頭が一杯のナヴァルには全く聞こえないに等しい。
一分一秒が待ち遠しい。
だが、どんなに待ってもジアの姿は見えなかった。
まさか呪いがかからないのか?信じられない。
夜、女の声がした。
「何をたくらんでいるの?」
見降ろすと、ライラが桜の木をじっと見つめていた。
面倒だがナヴァルは木から出た。
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