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有名大学から大企業に就職と聞けば、傍目には順調満帆に見えるかもしれない。
でも私にとってそれは敗北の連続だった。
親の期待を受けて進学校に入った私は、当然の流れで一流大学を目指していた。
でもフタをあけてみれば、一流と言われる大学は全敗。
手にできた合格通知は花嫁修業的な位置付けのお嬢様大学だけだった。
リベンジしようとも思ったが、世間体を気にする両親は浪人することを許してくれず、私自身も楽な方に流れてしまった。
結局、私の根性はその程度ということだろう。
一流大学から一流企業へ、キャリアも恋愛も叶えて勝ち組になるという人生の青写真は最初で潰えた。
プライドを捨てられないまま入学したが、大学にはすぐに染まった。
周囲は勉学より着飾ることと彼氏が関心事の裕福な友人ばかりだ。
授業もそこそこに近隣の一流大学に入り浸る。お嬢様ブランド大の私たちは男子の受けがよく、同じ大学の頭でっかち女より私たちの方がずっと可愛いと言ってちやほやされた。
一時の優越感に酔ったのは歪んだリベンジだったのだろう。私の目標はハイスペックな彼をつかまえることに変わっていった。
しかしこんなことで就職活動がうまく行くはずがない。自力で内定を取れたのは零細企業一社のみ。
結局、親同様に見栄を捨てられない私は父親が人事本部長を務める大企業に口利きで入社したのだった。
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