一瞬・・・だった

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 それは数分前の事だった。  自宅近くの広場で遊んでいた僕は、どぶ川の橋げたを渡る遊びに夢中で、いつも幅20センチほど、長さ150センチほどの橋げたを、行ったり来たりして遊んでいた。  その時は、友達の家に行くのに、その橋げたを渡ってから、土山を登っていき、その上にあるガードレール越えてから、アスファルトの道を下った。  ちょうど、三つ又交差点となる角にある友達の家に着くと、声を掛けたが留守だった。  三つ又交差点といっても、車2台がやっとすれ違いが出来るほどの広さだ。それに、車自体それほど多く走っているわけでもない。  ごく普通の住宅街の車道。  その交差点から広場に戻るには2つのルートがあった。  もう一度坂道を登って、ガードレールを越え土山を下って、橋げたを渡るルートと、どぶ川に沿って車道をグルッと迂回していくルートの2つだ。  この二つの選択を見誤った結果、これから起こる災難に出くわす事になるとは、この時、まだ幼い僕は知る由も無かった。  友達がいない事を確認すると、そこから広場に戻るルートの選択を迫られた僕の耳には、工事車両と重機の音が聞こえてきた。そこはやっぱり男のである。  その音に引き寄せられるかのように重機が動いている方へと足が向いていた。
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