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重機は友達の家からそう離れていない。目と鼻の先で工事をしていた。
僕の記憶にもあった。ここは大きな土地を持っていた地主の家だが、土地を売却するとかしないとかで、庭に植えてある樹木の伐採を数日前から行っていた。
ガードレールに寄りかかりながら通りから見ていると、庭の奥でショベルカーやクレーン、中型ダンプなどが入って樹木の伐採、撤去、運び出しが行われていた。
その時は庭の奥ではなく、庭に入る入り口に植えられている大きな巨木を伐採、撤去する作業だった。
庭にはこの狭い車道を通って来たであろう、あまり見た事のないクレーン車が庭の中央に足を広げている。
目の前の伐採される巨木よりもクレーンの先端は高くそびえている。
そこから降ろされたワイヤーと鉤爪は、巨木に巻かれたロープと繋がっている。
巨木の幹の周りは大人2人が両手を広げて繋いでやっと手が届くほどの太さ。高さはゆうに10メートルはあるだろう。枝の長さは毎年伐採されていたようでそれほど広げていない。
その巨木を数人の男性作業員が声を掛け合いながら、エンジン付きチェンソーを使って伐採を始めていた。
チェンソーそれ自体も1台や2台じゃない。4台のチェンソーを交換しながら使って巨木の幹を切っていた。
「おい!そっちじゃない。こっちをこういう風に切り込みを入れないと、こっちに倒れないぞ」
「コイツは、そっちに倒すからな!いつ倒れてもいいように、クレーンで少し奥に引っ張っておいてくれ!」
そんな声掛けが交わされていた。
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