一瞬・・・だった

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バキッバキッバキッ! バキャッ!! ブチッ!!  その声よりもチェンソーよりも大きな聞き慣れない音は、僕の興味を引いた。  僕の視線はその音がした先へと向く。  とくにその中でも最後に聞こえた何かが切れる音は、何よりも興味を引き、そこへ視線はすぐに向けられた。  その時、思いも寄らない出来事が起こった。  僕の視界に迫る光景。  あの伐採をしていた巨木が曇り空を背景に動いていた。  その黒い影が僕の方へ・・・。  それは走馬灯のような出来事。  曇り空を背景に動く巨木の黒い影はゆっくりとゆっくりと僕の方へと倒れてくる。 「あっ!!」  誰かが叫んだ。たぶん、作業員の誰かだろう。  それでも、巨木の動きは止まらない。 「あぁ!!」  また、誰かが叫んだ。 「あぶ・・・」  誰かの中半端な声が聞こえた。それでも巨木は止まらない。ゆっくりとゆっくりと倒れてくる。
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