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でも、実際は違った。
誇りが落ち着いてくる。目の前には現れてきたのは、あの巨木だった。
10メートルはあろうか巨木が、僕の目の前に倒れていた。
それは目と鼻の先。わずか数十センチ先に倒れている。
僕の体は・・・。ギリギリのところで太い巨木の幹と太い枝とのV字に分かれている所に立っていた。僕の右側にある車道とどぶ川を隔てるガードレールが見る形も無いくらいにへし曲がっている。
どぶ川を挟んで向こうには一戸建ての家が建っているが、その家のフェンスも巨木が倒れたせいで見る形もない。
まだ土埃は舞っている。
僕の頭には小枝や木の葉が降りしきる。
「子供だ!子供がいるぞ!」
僕はまた、上を見上げた。曇り空を背景に、黒い影はもう見えない。代わりに見えるのは細かい木の葉や小枝ばかり。
いや、多数をしめているのは木の葉だ。
ゆっくりゆっくりと木の葉が揺れて舞い降りてくる。
誰かが僕の体に触れる。
「大丈夫か?怪我無いか!」
僕には何の事か全く理解が出来ない。
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