いつかとけて なくなるとしても

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入院して、幾日が過ぎたのでしょう。 この部屋の窓際に立って風景を眺めるのは、私の午前の日課となりました。 隣のベッドにも誰か居るのですが、まだ姿を見た事がありません。それどころか声も聞いた事がないのです。 一日に一回だけ家族かなと思う男性がやって来るのですが、会話はありませんし謎に包まれています。 もちろん看護師も処置のために訪れます。それでも声をかける事すらしません。 それをあたかも見ていたように話していますが、実際のそれは耳で聞いた、だけです。
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