163人が本棚に入れています
本棚に追加
検査結果を聞くための二回目の医師の診察は、それでも、それほど待たずに呼ばれた。
そうは言っても、ここへ来て病院の受付したのは1時なのに、既に3時半になろうとしていた。
看護師に名前を呼ばれて、
話を聞くだけだから、ご主人もどうぞと導かれると、大きな荷物を持ってくれる彼と、二度目の市川医師の診察室へ入った。
「失礼します。」
「どうぞ。」
二人分の丸椅子を既に用意してくれてあり、医師の前の椅子に腰掛けた。
彼も椅子脇の足元に抱えていた大きな荷物を置くと腰掛けた。
それを見た市川医師は、にっこり笑った顔をこちらに向けた。
「今回の検査と、大学病院からの電子カルテが事前に届いていたので、そちらも確認させて頂きました。
大変でしたね、入院のつもりで来ていただきましたが、
結論から言うと、入院と同じような環境ができるなら、自宅安静でもいいと考えてます。
実家では、産前産後のフォーローは、お母様に協力していただけますか?」
「はい。」
「ずっと寝たきりで、とまでは言いませんが、今からでも、お母様に協力して頂いて、極力安静と、食時の用意などの家事はしないで自宅で過ごせそうですか?」
「はい、母が家に常時いますので。」
「それでは、せっかく入院の用意して来ていただきましたが、家のほうがいいですよね?」
そう言って、市川医師が私に同意を求めたので、頷くと、彼が聞いた。
「入院しなくて、大丈夫なんですか?」
「入院と同じ環境でいられるなら、自宅で過ごしても大丈夫ですよ、張りどめは今まで通り処方しますので。本人のご意思で、入院がよければ、手続きしますが…、自宅から病院までどのくらい?」
「車で5分?10分です。」
「それなら、安心ですね。張りも落ち着いているから、変化があれば、すぐ来てください。この調子なら大丈夫ですよ。」
と、私と彼の顔を交互に見て、にっこり笑って安心させてくれるように頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!