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実家へ向かうため、運転する横顔を見ながら、このあと、明日から仕事の彼と、また離れ離れになると思ったら、急に寂しい気持ちが、込み上げてきた。
彼の顔を、またしばらく見れなくなるから、目に焼き付けるように彼の横顔をじっと見つめておくことにした。
「そんな寂しいって顔しなくっても、また、来週末すぐ来るよ。」
お腹の上に添えていた手に、彼の大きな片手が重なった。
その手に、自分の片手も重ねる。
このゴツゴツした手が、誰よりもかっこいいと思えてしまう。
優しく触れてくれる、この手が、
赤ちゃんを抱っこするところが見たい。
その時の、彼は、どんな表情をするんだろう。
絶対に、彼の為にも、健康な赤ちゃんを産んでみせる。
そう思ったら、頑張れそうな気がしてきた。
「大丈夫、大変だから、来週末は、ゆっくり過ごしてて。毎日残業なのに、無理してきても、大変だもん。体休めといて。
産まれてからのほうが、赤ちゃんに、たくさん逢いに来てほしいから、それまでは頑張るから、大丈夫。」
母になる決意でそう言うと、
「わかった。俺も、なるべく仕事調整して頑張るよ。来れそうなら、連絡してから行くから。
それまで、安静にね。」
お腹の中では、伸びをしているのか、ミーニョが飛び出してポコっとお腹が盛り上がったから、中で話を聞いていたのかな。
彼の触れている手を掴んで移動して、飛び出してきた場所の上に乗せると、彼も気づいた。
「お?ここ、足?飛び出してる!」
「分かんない。痛いから、擦って(笑)。」
そう言うと、
「よしよし、引っ込め引っ込めー。」
彼の声が聞こえたのか、大人しく、引っ込んで、お腹の中で落ち着いた。
何となく、今、張ってたなって、張るって感覚がわかってきた。
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