櫻の巨木と青年の"シタイ"

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「わあ!凄く大きな木…。」 ─── 初めて訪れた彼の部屋。 窓辺に立ち、外を見た瞬間、この建物から少し離れた位置に佇む大きな木が視界に入り、思わず感想が口から漏れた。 「ああ、凄く大きい櫻の樹だよね、この『櫻の元病院』の名前の由来になった樹らしいよ」 いつの間にか私の隣に立つ彼が優しく微笑みながら答えてくれた。 「え!?寝てなくて大丈夫なの!?」 いつもは病気で床に伏せている彼が隣に居て凄く驚いた。 「うん。今日はいつもより気分が良いから少しくらいなら起きてても平気だよ」 ─── 久しぶりに隣に立つ彼が放つ、独特の薬品混じりの彼のシャンプーの香りを間近で感じ、少しドキドキし、何故か彼を直視出来なくて視線をさまよわせる。
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