密猟ゲーム

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 ゲームセンターに新台が入荷された。  "アニマルハンターズ"というクレーンゲーム。一回百円でクレーンを操作し、その下に山積みになっているアフリカ象やワニ、うさぎやアヒルなどの縫い包みを景品受け取り口に運ぶ。  「マンモス来い、マンモス来い」  常連客の狩野は慎重にクレーンを動かす。  ゲームセンター"あんとりおん"に幾度となく通い詰め、格闘、リズム、パズル、シューティングゲームと店内のゲームは殆んどやり尽くしたところで飽きが来ていたが、このゲームは違った。 ゲーム機のどれもが、巧くいかない就活のストレスを晴らすのに相応しいものだったが、アニマルハンターズはそんな狩野に目標を与え、熱中させた。   「あと少し、鼻をつかんで......」  ゆっくりとクレーンの先を毛むくじゃらのマンモスの鼻に近付ける。パカッと手を開いたクレーンはじわじわと鼻を掴み始める。 景品を獲得したと確信した狩野は、ごくんと生唾を飲み込んでクレーンを見守る。景品を受け取った時の自分を想像し、思わず笑みがこぼれた。  「え? あれ?」  クレーンが狩野の予想を裏切った。  掴んだのはマンモスの鼻先から随分離れた牙の部分。 縫い包みの中では一番サイズの大きなマンモスは牙一本で頼りなくぶらぶらとぶら下がっている。  「落とすなよ、落とすなよ」  息を潜め、受け取り口の穴に揺れながら運ばれて来るマンモスを、狩野は凝視する。
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