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そんな彼女と私は、今日、彼女の昔なじみのお得意様の会社へと一緒に出向かなければならなくなった。それもこれも、彼女の事務処理の不安により、やむなく私がタブレットを抱えて同行しなければならないという理由だ。このITの時代、契約も全てタブレット上で行う。慣れてしまえば、簡単な作業なのに、彼女は一向に覚えようとはしない。
彼女は得意顔で、私の前を颯爽と歩く。彼女にとっては、私は部下でお付の人間のような感覚なのだろう。会社の不安も知らずに、バカな女。舌先三寸で、渡れる営業の時代はもう終わったのよ。
ふと、私の頭の中にイメージが降って来た。お局様の歩いている後ろに、大きな看板が落ちてきて、九死に一生を得るイメージだ。私は思わず、叫んだ。
「山中さん!」
すると、彼女は怪訝な顔で立ち止まって振り向いた。
彼女の頭を看板が直撃し、潰された頭からおびただしい血が溢れ出し、脳漿が飛び散った。
私は、口を押さえて、金切り声で叫んだ。
ちなみに口を押さえたのは、この笑顔を隠すためだ。
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