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危険回避
「ちょっと、コレ。」
私のデスクの上に、ドサっと紙の束が放り投げられた。
私はウンザリとした顔で、放り投げた本人を見上げた。
「ゴミ箱に捨ててあったんだけど。よもや大事な資料を間違って捨てたんじゃないでしょうね?」
鬼の首でも取ったように、口角を上げる大女が立っていた。
またか。私は、溜息をつきながら、パソコンからフォルダを探した。
「バックアップは取ってありますから。捨てた覚えもありません。」
あんたが私の引き出しから盗んで捨てたんでしょう?
大女の顔が引きつった。
「と、とにかく!大事な資料の管理はちゃんとしてよね!」
そう言うと一人でプリプリ怒りながら自分のデスクに戻った。
「ホント、やなやつ!朝一、社員が来る前にゴミ箱は清掃会社の人が捨てるから、絶対にあり得ないよね!よくもまあ、あんなミエミエな手口で人を陥れようとするよね!頭悪すぎ。」
隣の同僚が声を潜めて、私に耳打ちをしてきた。
私は苦笑いを返す。恐らく、昨日遅くに私のデスクの引き出しから抜き出し、持ち帰ったのだろう。
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