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ヨルノハジマリ
逢魔が時と、人が言う頃。
遠くに小さく、祭囃子が聞こえてくる。
遠くに見える屋台の灯りと、香ばしい煙に誘われて、人はゾロゾロとやってくる。
静寂を打ち破る背徳に皆一様に酔い、熱に浮かされたように彷徨い集い、普段なら見向きもしないような値段のジャンクフードを買い求め、路上でむさぼり食う。
さまざまな色が溢れる中で、ぽつんと一つ、白い卵のみを並べている屋台を見つけたら、気を付けたほうがいい。
そこには、男とも女とも若いとも老いているともわからない者が佇み、こう問いかけてくるから。
おや?お客さんは、この店が見えるんだねえ。
お客さんは、第四の色を見る目を持ってると見受けた。
この卵は、夜の卵。願いを叶えてくれる卵だよ。
さあ、一つ、持ってお行き。
お代はいらないよ。
ただし、タダではないけどね?
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