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「またクライアントさんからの電話じゃない? 」
本当にクライアントかどうかは分からないけれど、姉さんのケイタイを鳴らすのは助けを必要としている人だ。
抱えている案件でさえ手一杯なのに、色々な相談の電話がかかってくる。
「こっちの事情も分からないのに気安く使ってくれるよな」
僕はたっぷりの皮肉を込めてそう言った。
「心配かけてゴメンね」
姉さんは眉尻を下げながら、でも優しく微笑んだ。
そして、朝食もそこそこに家を飛び出して行ったんだ。
事故が起きた事を知ったのはそれから間もなくだった。
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