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堤防に沿って見事な花を咲かせる桜並木は、うちの事務所の定番花見会場だそうだ。
最近、どこかのムック本で紹介されたらしく、ここの場所取りはなかなか熾烈。
なのでフレッシャーズの僕は率先してこれを遂行している。
「お母さん、まだ体調が芳しくないんだろ。お前はパスしていいんだぞ」
と上司は言ってくれたが、ならばむしろ出席させて頂きますよ。過去に縛られるつもりはないので。
と、天邪鬼な僕はつい反応的な思考になった。
先日、姉さんの一周忌は済んでいて、一応喪は明けているしね。
両親、特に母は相変わらず元気が無く、仏壇の前でめそめそしているのが常だが、だからと言って僕までしんみりしている訳にはいかないし、
就職して分かった事だが、思った以上に姉の一件が業界の中で知られていて、
だから尚更、それを引きずっている姿なんか見せたくないんだ。
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