33人が本棚に入れています
本棚に追加
The best of のどかな桜日和に、ベストな場所を確保した僕のブルーシートには、先ほどからヤケに花びらが降ってくる。花が終わりに近いのかな。
来週にはもう葉桜になるのかもね。
そんな思考をくるくると頭の中で流していたら、どこからか走ってきた子供が目の前でつまづき転んだ。
とっさに僕の出した手で顔面殴打だけは回避できたが、この状況に驚き、うつ伏せになったまま泣き出してしまった。
「すみません、ありがとうございます」
すぐに追いついた母親は礼を言いながら、子供を後ろからそっと抱き起こした。
ひしっと母親に抱きつき子供は顔を埋めている。
その母親の姿に、
昔の姉さんの姿が重なり、
すっかり忘れていた記憶が鮮やかに蘇った。
「ほら、……だいじょうぶ? 」
最初のコメントを投稿しよう!