満開の桜

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「弁護士ってさ。ラクして儲かる仕事じゃないの? 」 姉さんが就職した頃は、今の家に越してきていて、部屋は別になっていたけれど、深夜まで仕事関係の調べ物や書類の整理をしていた事は気付いていた。 責任感が強い姉さんは、普段から職場でも遅くまで残って仕事をこなしていたね。 その華奢な身体が心配だったよ。 だけどさ、僕が心配を口にするような時は、決まって自分のコーヒーを淹れるついでに、僕にも用意してくれたね。 そしてリビングで少しの時間、一緒にコーヒーを飲んだりした。 姉さんの仕事に皮肉を言ったら、少し困った顔してたけど。 「今、この時間にも助けを必要としてる人は沢山いるから」 そう言ってふわりと微笑む。 「でもさ、身体壊しちゃ本末転倒だよ。自分の事も労わらないとさ」 「わかってる」 あまりにイイ笑顔で、それ以上強く言えなかったっけ。 深夜のコーヒーブレイクはいつもそんな会話だった。
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