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「いや……ごめん、困らせて。カウンセラー失格だな。散歩はまたの機会に……」
すると璃桜がブンブンと首を横に振り、僕の腕を押さえた。
「え……いいの? 行ってみる?」
小さくうなずいた瞳がわずかに微笑む。初めて見る笑顔に、僕の中の熱い何かが一気に膨れ上がった。
「……行こう、外へ。この屋敷から出よう」
そう。僕がいつかきっとここから連れ出してみせる。
富樫組は決して表立った抗争などに名前が上るわけではない。
だが不動産から貿易、金融まで押さえるこの組は、親組織のブレーン的な役割を担っている可能性が濃厚。
国指定の親組織に揺さぶりをかける為にも、この富樫組で起きている事実を突き止める必要がある。
その結果、クロであればもちろん、たとえシロであろうともこんな環境に璃桜を置いておくわけにはいかない。
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