0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
わたしは仕事帰りに夜の川沿いの道を歩いていました。
その隣を流れる川の上流にはきれいな桜並木があるらしく、近くには頬を上気させた花見帰りとわかる人の姿がポツリポツリとありました。
その中の一人、髪の長い女性が突然わたしに向かって走り出してきたかと思うと目の前で川面に向かってジャンプしました。
わたしは驚いて川に身を乗り出したのですが、彼女はまるでバレエのダンサーのように爪先で水面をはねるとそのまま対岸までたどり着き何事もなかったように歩み去っていったのです。
見ると彼女のはねた場所にはすべて流れて来た桜の花びらがありました。
春らしい強い風が吹いてわたしは上着の前を閉じます。
彼女は春の妖精だったのでしょうか。
最初のコメントを投稿しよう!