第1章

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 花見から三日後「ハンカチ返却します。ついでに飲み物おごります」とメールが来た。智は大学の食堂兼カフェテリアで、アイスカフェオレをおごってくれた。  会話は、全く弾まなかった。一問一答。そして、沈黙。入試の面接にも似た時間が、不思議と心地良かった。  その日以降、時々、智からメールが来た。私も返信をした。  お互いに雑貨好きだったので、一緒に雑貨屋巡りをして、お気に入りのインテリアを見せ合おうと、アパートに招待しあった。  ふと気がつけば、周囲が私たちをカップルとみなしていて、智が頭を掻きながら「じゃあ、まあ付き合いますか」と笑った。
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