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私の両親は、私が小学生の時に離婚している。
「結婚式なんかしたらダメよ。別れた時に恥ずかしいから」
離婚直後、母は毎日のようにそう吐き捨てた。
東北の片田舎で、見栄っ張りの母は、それこそ村を上げて盛大に挙式をしたらしかった。
離婚が世間に知れたとき「あんなにすごい式をしたのにね」と、近所で噂され、怒り狂った母の形相は今も忘れられない。
「結婚するならひっそりしなさい。いつ別れてもいいように」
母は、事あるごとにそう話す。父の悪口と共に。
離婚の際、二人の間にどんな契約が交わされたのかはわからない。父は家を出て、私は母と一緒に父の建てた家に住み続けた。二人の生活費は、月々父から現金書留で送られてくる。母が働かないでも人並みの生活が出来るほどの金額を、父は毎月払い続けているのだ。
私は、父の悪口を言いながら、父の財産でのうのうと暮らす母の心理がわからなかった。
母の生き方を好きではない私が「結婚式はイケナイもの」と信じるなんて矛盾だと思うけれど、どうしようもなかった。
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