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えーっ!う、嘘でしょ?
うちの会社で人気者の久手(ぐで)さんが海外赴任なんて…。それも来週にも行ってしまうなんて…。
朝、出社したら、女の子達が騒いでいた。
久手さん──イケメンで仕事が出来るのに、性格はのほほんとした性格いいイケメン様なの。
上司にも後輩にも人気があって、私達女の子達には癒しのイケメン。
その彼がいなくなるなんて…。
神様ー!なんてことするのよ!
それに、私、野里 玉子は久手さんに恋しているのにっ。
告白したいけど、私は地味女。
久手さんはきっと私の事を知らないはず…。
どーしたら、いいのぉよ!
神様、ヘルプ!私に愛の手を!
「おい、呼んだか?」
へ?いけない、心の声が、実際に声に出ていたのかしら?
口元を押さえ、声がした方を振り向く…が、すぐさま違う方を、見てしまった。
あ、あれは何かしら?
「おい、呼んどいて随分な態度だな」
こ、この声、渋くてイケメンボイス。
まるで、声優の大塚 ◯夫さんのよう。
な、なのに、何故あの風貌?
髪はボサボサ、髭は伸びっぱなし、服はボロボロ…
なのに、スニーカーは真新しい。
なんで!?ホームレス!?
…近寄るのはちょっと…。…かなり嫌。
「おい、野里 玉子。いい加減にしろっ」
「は、はいーっ(@_@;)」
な、なんで、名前を?それもフルネーム。
「お前はバカか?名札を見れば名前くらい分かる」
また、声に出してたのかしら?
イケメンボイスのその人は、壮大なため息をついた。
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