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「とにかく、話はあそこの喫茶店でするか」
そう言って、喫茶店にイケメンボイスはスタスタと歩いていく。
その格好で入るの?入れるの?
っていうか同席したくないんですけど。
「ちょっと、待ったー!」
私は思わず叫んでしまった。
イケメンボイスはめんどくさそうに振り返った。
「なんだよ」
「だって、その格好で、入るの?」
やっとのことで言うと、
「ああ、これしかないんだよ」
との返事。
「じゃあ、体をきれいに清潔にしてください。あ、その前に洋服を調達しましょう」
自分でもとんでもないことを言ってしまったと思った。
見ず知らずの人になんて事を。
そう思っていると、イケメンボイスは
「分かった。確かにな。数秒だけ目を閉じてろ」
と呟いた。
私は訳の分からずまま、目を瞑った。
……数秒後、耳元で、
「目を開けていいぞ」
と言われた。
キャー、キャー。
イケメンボイスでそれも耳元で言葉を発しないでっ、ドキドキしちゃったじゃないの!
私には久手さんという人がいるのよ!
目を開けて抗議しようとするとそこに立っていたのは、これまたイケメンの男性だった。
髪はきれいに整えられ、髭はなくなり洋服もモデルさんのように着こなしている。
……本当にさっきの人と同一人物ですか?
これはドッキリか何かですか?
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