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君の以前の相手が同性だって知っていたから、受け入れてもらえるなんて勝手に思ってしまっていた。
『だって、男同士じゃん』
『まだ忘れてないんだ』
ためらいながらこっちを凝視する表情に、勝手な答えを想像してしまう。
受け止めようと思っていたのに、その言葉に恐れを抱いてしまった。
君が言葉を探して唇を湿らせたのを見て、慌ててさえぎった。
「いや、あの……答えは、今じゃなくていいんだ……急にごめん。ただ、伝えたかっただけで……その、忙しい時期なのもわかってるし」
自分で自分の首を絞めるような、バカなまねをしている。
無駄な猶予期間なんて設けなければ良かったのに。
それも卑怯なことに、あいまいな、猶予期間。
「桜が咲いたら、聞かせて欲しい」
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