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淡々と時間は流れて、暦の上では春になる。 そこここに気配が忍んでいるのはわかるけど、まだまだ寒くて防寒具が手放せない。 そんな時期に、『これから期末です気を引き締めて目標を達成しましょう』なんて、会社であった訓示。 ありがたくない美味しい料理と、味がよくわからなくなる酒の席。 完全に別の部署なのに、たまたま会場は営業と同じところで、僕は社内での菊地の評価を改めて知る。 そろそろグルーブ一つ任せてもいいかな。 そんな風に上から評価されて下から頼られて、女性からは別格扱いされている、よくできた男。 まあ、東さんが絡みたくなるのもわかるよなって、僕は思う。 人間性を疑われるから、実際絡むかどうかはさておくけどね。 職場の飲み会なんて、福利厚生で会費が出てお付き合いでいいお店が予約されてて、うまく立ち回ればそれなりに楽しいはずなのだけど、今夜はなんだかうまくいかない。 君が気になって。 「佐倉、飲んでるか?」 「食べてます」 「まあ、飲めよ。お前はもう少し柔らかくなっていいぞ」 僕が上司につかまっている向こうで、君は女性陣に囲まれて、困ったように笑っていた。
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