prolog 幕が、あがる

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 気付いた頃には、わたしは自分の事が好きではなかった。  のっぺりとした顔立ち、ニキビだらけの顔、お世辞にも良いとは言えない体には、胸だけでなく全身に余分な脂肪が付いていた。  元々産まれた頃は千六百グラムに満たない未熟児だったようだ。 三歳頃まではどちらかというと痩せすぎの部類だった。  それを心配した祖父が幼いわたしに様々なおやつを与えた。  体重など気にしない幼いわたしが好んだのは、ジャガイモとベーコンのチーズ焼きだった。  それを毎日、おやつと夕飯の間に食べた。 食べた。 たくさん食べたのだ。  それを見て祖父は喜び、それと共にわたしの体重は増加していった。  何故子供は太ると言うことに危機感を持てないのだろうか、周りと違う自分の体つきに気づけないのだろうか。  何故両親は、平気で子供を太らせるのだろうか。  思春期のわたしはあれほどに苦しんだというのに。  その事を今言っても仕方ないのは分かっている。 何を言おうと過去が変わらないことも、分かってはいるのだ。  とにかくわたしは自分の事が嫌いだった。  変わるためにたくさんの努力をした。     
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