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さて、頼まれた日のクリスマス。
あたしはあの犬のいる家にやってきた。
けど誰もいにゃい。
いるのは犬だけ。
にゃんだよ、来いって行ったくせに誰もいなかったら何もできないじゃにゃいか。
そのとき、あたしの鋭い耳は騒がしさを捉えた。
隣の家から聞こえる。
あのときのお姉さんの声も。
あたしは隣の家に向かう。
そのとき、その家からおばさんが出てきた。
あたしは挨拶に一声なく。
「あっ、やだこの子」
やだとはなんにゃ、失礼極まりにゃい。
おばさんはあたしをチラチラ見ながらあの犬のいる家に入って行った。
しばらくして、また出てきた。
あたしは隣の家に向かって行くおばさんについてく。
「あ~、かわいい! かわいいんだけど……」
おばさんは、隣の家に行くとそっと扉を開ける。
そこから誰かの名前を呼ぶ。
すると、一人の女の子が出てきた。
あのときのお姉さんにゃ。
「ひゃわああああっ??」
お姉さんが黄色い悲鳴をあげる。
その声を聞いて、あとからいろんな人が来た。
みんなが外に出てきて、あたしを撫でる。
ああ、気持ちいい。
撫でまくって満足したのか、ほとんどの人が家に戻って行った。
けど、さっきのお姉さんはずっとあたしを撫でて、触って、抱っこした。
よっぽど生き物が好きにゃんだな。
けど最終的に、あたしは外に閉め出されてしまった。
まあそうだろう。
今までの家も、最初から家に入れてくれることなんかほとんどにゃいし。
ここは、しつこく毎日訪れて、心を開かせるのがいいにゃ。
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