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翌日の朝、あたしは犬のいる家に訪れた。
あたしに気づいたのは、小さいお嬢さん。
おばさんと何か話して、外に出てきた。
上着を着て帽子を被って耳当てをして手袋をして、あたしを撫でる。
すっごい防寒だ。
人間にも毛皮があればいいのに。
どうやら、今日は家に入れてくれなさそうだ。
そのあと、お兄さんやお姉さんが起きて来て、一緒に撫でた。
まあ、これでもいっか。
ここに通い始めて数日すると、だんだん温かいものを出してくれるようになった。
柔らかい座布団に、もこもこの毛布、ぬくぬくできて温かい。
ああ、幸せ。
冬の間はここで寝るのが一番にゃ。
しばらく毎日通おっと。
さらに数日経つと、やっと家に上がらせてくれるようになった。
やっぱ外より温かい。
でもご飯はくれなかった。
美味しそうな匂いがしてあたしが食べようとすると、外に閉め出される。
ご飯が欲しくて通い詰めてたのに。
まあいっか、寝床も確保したし。
あの犬はというと、あたしに全然気づいてないようだった。
目が見えてにゃいんだろう。
この前見たときよりもだいぶ弱ってる。
今のこいつは、警戒しなくても平気だろう。
あたしはよくその犬にくっついて寝たりした。
でもくっついていると、犬が暴れて踏まれたり蹴られたりするから、距離を取るようにした。
この家はご飯をくれにゃいけど、夜になっても追い出さないし、何よりあの犬から頼まれているので、あたしは毎日訪れた。
いつものように外でないてみると、いつものようにお兄さんが窓を開けた。
いつもと違ったのは、お兄さんがないていたということ。
あたしの『なく』とお兄さんの『なく』は違う。
猫であるあたしは鳴くが、人間であるお兄さんは泣く。
苦しいから泣く。
辛いから泣く。
悲しいから泣く。
お兄さんが泣いていた理由は、家に上がってすぐにわかった。
この家の犬が、冷たく、硬くなっていたからだ。
ああ。
鳥が、立ち去った。
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