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それから何年か経つと、お兄ちゃんは昔より怒りっぽくなくなりました。
みんなから、好かれるようになってきました。
落ち着いてきてわかったのですが、お兄ちゃんは猫やフクロウによく似ています。
ちょっとボサボサなところは、雑巾に似ていました。
ですが、ちょっかいを出すとすぐに傷つけてくるのは変わりませんし、食い意地が張ってるところも全く変わりません。
夕飯時のうるささといったら、もう表しきれません。
わたしとお兄ちゃんは、週末に近くをよく散歩しました。
この日も、わたしとお兄ちゃんはいつもの道を歩いていました。
昔より、お兄ちゃんの歩くスピードが遅いのは、わたしの思い込みでしょうか。
坂道に差し掛かったとき、お兄ちゃんは息を切らし始めました。
家を出てから、まだ五分も経っていません。
それほど急な坂ではないのに、お兄ちゃんは疲れたのか足を止めました。
帰ろう。
そう言いたげにわたしを見つめてくるので、わたしたちは散歩を中断して家に帰ることにしました。
家に帰ると、お兄ちゃんはたくさんの水を飲みました。
やけに多く飲んでいるなと思ったのは、気のせいでしょうか。
さらにお兄ちゃんは、転ぶ回数が多くなりました。
何度も体を打ち付ける姿を、わたしは黙って見ていることしかできませんでした。
やがて、お兄ちゃんは外に出なくなりました。
家の中でも立つことはほとんどなく、移動しようとすればすぐに転んでしまいます。
お兄ちゃんは昔と随分変わってしまいました。
なんといいますか、昔のような元気さがなくなってしまったのです。
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