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孤独で出口のない迷宮をさ迷っていた
信じる者はいつわり
親族でさえも、お金がない自分を助けてなんてくれない
そんな真っ暗な気持ちの時に彼女に出会った。
海が見える公園のベンチにロングヘアーの女性が腰かけていた。
彼女のまわりには鳩が集まっている。
お弁当をおっそわけしているようだが大半はあげてしまって笑っているむじゃきな顔をながめてふと心が晴れる気がした。
それから何度か彼女を探して行くようになった。
一人でいる時の彼女はどこか疲れた顔をしていた。
今日もハズレかと車に戻った時に彼女をみつけた。
中華街で買った肉まん手に持って小柄な女の子と笑いながら歩いていた。
女の子は片手に肉まん、片手にジュースを持っていておかしかったのかケラケラ笑いながら携帯を向けている。
二人は仲良く公園で肉まんほうばりながら話していた。
笑う彼女、二人は仲良しなのだろう。
僕もふとけんか別れした幼なじみを思いだした。
彼女のコースは決まっている、この公園から歩いて山手のほうに行くのだ。
今日もそのコースかなと思いながら僕は車に戻った。
お昼を食べに中華街に行ってから山手に向かう。
外人墓地のあたりで二人を見つけた。
優しい春風に彼女達の髪の毛がゆれていた。
外人墓地の横にある桜の下で彼女たちは足を止めた。風が桜を舞わした、それを無邪気に追いかけているのを見て、決意がついた。
あいつにあやまろう、あやまってまた一緒に仕事をしよう。
もう迷宮からでよう。
満開の桜と笑顔が僕の中をてらす。
やわらかな春の日差しのように。
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