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女の子は私を見上げてにかっと笑う。
ピンクの上着に日の光をいっぱい浴びて、
ひとつに結んだ髪が動きに合わせぴょこぴょこはねる。
視線を一度遠くへやった。
午後の町並みに音はなく、
はす向かいには歩道と車道に取り囲まれて、
神代曙の若木がひとつ立っている。
窓口を一度離れ、私は店の出入口を抜けて女の子の脇にしゃがんだ。
「これはね、大人の人しか買えないの」
「これほしい! なんかねぇ、すごくきれい!」
身体ごとこちらを向いて、
女の子はきらきら笑う。
鼻と鼻がくっつきそうな距離だ。
「うん、でも子どもは買えないの」
「あ! あたし四才だよ! 四才になった!」
「そっかぁ、四才じゃまだ、無理かなぁ」
「でもすっごいおいしかったのこれ!」
「美味しかったの?」
「おいしかったのー!」
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