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「なんで俺ってこーゆー面倒ごとに巻き込まれやすいんだろうなぁ…」
夢路は椅子に座って濡れた紙袋を横目にため息をついた。
面倒な事にならない様に警察やマスコミが集まる前に人込みに紛れて退散しようとしたのだが…。
避難時に混乱する人並みの中で紙袋のひもが切れて落としてしまい、再び店内に戻って落ちた紙袋を探してやっと見つけた。
店の外に出た途端、警察に話をしていた女性が、「あ、あの人です」と夢路を指さして来た。
こんな時に人目を引く容姿は辛いものだ。
警察に「あなたが爆弾の第一発見者ですか。ちょっとお話を聞かせてください」とパトカーの中に連行され、所轄の警察やら消防士やら捜査一課の人間やらに代わる代わる何度も同じ質問をさせられ、それに何度も同じ回答をした。
「あのー俺ってまだ帰っちゃダメなんですかー?」
近くにいた刑事に話しかけると、隣にいた捜査員とコソコソと話をした。
「君の身元の確認も取れたし、取りあえず今日のところは帰っていいよ。また連絡すると思うから携帯には出る様にしてくれ。捜査協力ありがとう」
まったく心のこもっていない謝辞に夢路はムッとしつつも、解放される安堵感からため息を吐いて立ち上がる。紙袋の紐が切れてしまったから、右手に持っていて無事だった紙袋に移して両腕に抱えて歩いた。
出口近くまで来ると、「待ってくれ」と呼び止められた。
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