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警視庁の資料室。
箸本を警視庁に連れて上司に引き渡しを終えた近衞は、過去の捜査資料を探していた。
「あった、これだ」と棚からファイルを取り出して、部屋に備え付けの机にファイルを広げると、捜査資料のほかにも事件当時の新聞記事がファイリングされていた。
その切り抜きには『通り魔事件・被害者の大学生 頭部と全身を殴られ意識不明の重体』『事件解決せず。被害者は植物状態』『被害者の意識は戻らず捜査は難航』という見出しが書かれていた。
夢路がスマホで話している姿が近衞の脳裏に浮かぶ。
着信音もバイブ音もしなかったのに、確かに弟からの電話だと彼は言った。
「いつ意識が戻ったんだ…?」
口元を手で覆い、愕然と近衞は呟いた。
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