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爆発現場にはすぐに警察が到着し、被害の状況把握や救出作業が行われ事態は沈静化していた。
店内はスプリンクラーで水浸しになったり棚が押し倒されて本が散乱しており、商品の書籍への被害は大きい。
水浸しの床を歩いてくる二つの人影に気づいた刑事が声をかけた。
「坂田警部お疲れ様です」
「おう、お疲れさん。状況は?」
「アイドルの握手会を狙った犯行のようですが、爆発による怪我人や被害は“0”です。避難時に押されたりして怪我を負った者が数名いて、念のため救急車で搬送しているものの皆軽傷です」
「爆発事件なのに被害者がいない?」
坂田と捜査員の会話に近衞が割って入った。
「…‥?君は?」
「彼は今日からうちの係に配属された近衞君だ」
「…あぁ…君が噂の…」
捜査員が近衞を見る目は細められて好意的ではなかったが、近衞は気にせずに話を続けた。
「爆発物はどこに仕掛けられていたんですか?」
「あの階段の1階と2階との間の踊り場です。爆発物はアイドルの写真集と一緒に配られた紙袋の中にあり、それを見つけた発見者が避難を呼びかけたので幸い被害が最小限に抑えられました」
近衞と坂田は階段付近まで行くと、そこには捜査員だけでなく鑑識やらで人がごった返していた。
爆発があった踊り付近は黒く焼けていたり、爆発物が飛散しているが、一階の階段付近までは大して被害がなかった。
「…変…ですね」
「そうだねぇ」
近衞と坂田の会話に案内をした捜査員は「何がですか?」と首を傾げる。
近衞はその質問には答えずに、「爆発物の発見者は?」と質問を返した。
「話を聞きたいんですけど、どこに?」
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