0章

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 キーンコーンカーンコーン  6時間目の終了の合図が黒板の上のスピーカーから鳴り響く。合図と共に各席の生徒が背伸びをしたり、おわったーと机にへばり付いたりと其々の反応を見せる。先生が教材を整え、教室から出ていくと同時に生徒も帰る身支度し、各々の掃除場所へ向かっていった。俺は教室担当だったので、この場に残り、ロッカーから箒とちりとりを取り出し、担当になっている奴らに渡す。  「ほら。掃くぞ」  「お、おう。分かったよ」    いつも思うのだが、何故皆こうも怖がっているんだ?俺の顔はこんなにも何処にでもいそうな顔なのに。たかが古傷ある位なのにこうも怖がられちゃ地味に腹立つわ。 「何だよ、なにビクビクしてんだよ?」 「な、何でもないよ。早くやろうぜ」  何とも甚だしい気持ちだ。つい、舌打ちしてしまったが皆には聞こえていないようでこっちを見ないで黙々と掃除をしていた。いや、聞いたうえでこっちを見ない様にしているのか。益々腹立つ。まぁ終わらせてしまえば帰れるんだし、適当にやろう。そう思って、取りあえず端っこの方から進める。一応全部掃いてみた。適当っていうけど、体が許してくれないようだ。 「じゃあお疲れ」  箒を片付けた後そう言って、自分のカバンを持って教室から出る。閉めた後、音を立てない様に聞き耳を立てる。今まで我慢してたけど、なんか気になりだす。大体、こういう場合って何かしら愚痴るから情報収集だ。 「はぁ、あいつといると息苦しくて堪んないよ」 「だよな。色んな噂もあるし、正直一緒にいたくないよ」  おいおい、かなりひでぇこと言うな。泣いちゃうよ?いいの?泣いちゃうよ? 「だよねー。正直いなくなってほしいんだけど」 「絶対私たちの事、犯そうと考えてるかもよ?」 「えーやだぁ。キモいんだけど」  女子まで言うの?なに、本当6ヶ月過ごしてきたけど、ここまで嫌われてたの?うわー  俺は扉を勢いよく開け、愚痴ってた奴らはぎょっとし、恐縮した。 「覚えてろよ…」  中指を立て、勢いよく閉め、昇降口へと向かった。  
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