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俺たちは死んだのか?夢でも見ているかのような感覚だ。何もない、只真っ暗な空間が俺の体を包んでいる。まさか、これが天国なのだろうか?はたまた、地獄なのだろうか?俺が余計な事を言って俺だけならまだしも人望も厚い浅頼まで巻き込んだんだ。もうここは地獄で間違いないだろう。本当に何もない。若干寂しさはあるが、それを受け止めよう。刹那、目の前から眩い光が広がり、そして、全体が白に染められた。
ここは何処だろう。大雑把に言えば自然。大自然だ。俺の近くには小さな畔があり、その隣には樹齢何百年と威厳と寵愛を感じさせる大木がそびえ立っている。そして、その太い根に取っ手のある椅子の様にして座る若い人がいた。金髪、碧眼、そして、中性的な顔立ち。手には、何語か分からない文書を読んでいた。隣に俺の兄、浅頼がまだ目覚めていない。
「おや、目が覚めましたか」
本を閉じ、こちらに優しい笑顔で話しかけながら、こちらに歩み寄ってくる。しかし、可愛い顔をしている。胸に膨らみがあるので女性だろう。
「申し遅れました。私、キャレトファンと申します。あなた方が助けようとした娘の母でもあります。この度は、あなた方を娘の不祥事で死なせてしまい、申し訳ありません」
あ、いえ。助けようとしたというか、事故らせようとしました。こちらこそすいません。
輝「あ、でも、その、娘さんは無事なんですよね?」
キャ「はい。あの娘は神の力を使いましたので傷一つありません。しかし、現世でその力を使うことは禁じられています。なので、今は父の尻たたき(本気)五万回の刑に処せられています」
…なんかごめんね娘。俺のせいで…
キャ「それでなのですが、これからあなた方を生き返させます。しかし、地球にではありません」
地球ではない?ではどこの星で生き返らせるのだ?火星?はたまた木星?結局死んじゃうよ俺?酸素なくて死んじゃうよ?何処に行き返されるのかと確認してみた。
キャ「えぇ、あなた方を娘が管理する星「リグ」に生き返す、転生と言えばよろしいでしょうか。もう一人の方が自分が死んだことに気づいていないので目覚めませんが」
なかなか起きないと思ったら、そういう事なのか。俺は自分が死んだと自覚し昇天したことで、ここに来たのか。浅頼は恐らくもう少し時間はかかるだろう。自分が死んだ所見ないと信用しないし。
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