誕生

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おぎゃぁ、おぎゃぁ 「双子が生まれたぞー!」  その日、新築の木造の家から、二つの鳴き声が響いた。子供が生まれたのと同時に、高台に設置された黄金の鐘が鳴り響く。この鐘は、赤子が無事に誕生し、神様に感謝を表しているらしい。まぁ、皆さんは気づいていると思うが、一つの鳴き声は俺だ。さっきから体が動かん。まぁ、生まれた瞬間二本足で歩いたら怖いわな。 「フリカム!よく頑張った!よく頑張ったぞ!」 「えぇ、あなた。あなたと私の子供よ。こんなにも可愛い」 「あぁ、あぁ、そうだな。なら、名前をつけなくては。何が良いフリカム!」 「旦那様!奥様はお疲れです!名づけはまた後日に!」 「おぉそうだったな!嬉しくてつい興奮してしまった。フリカムの体調も考えずにすまんな。今日はゆっくり休みなさい」  何とも騒がしい家族だな。まぁ幽霊家族みたいに静かすぎるよりは全然いいが。記憶がある状態で産道を通るのはちょっと怖かった。どれぐらい痛いのかなと思ったら、めっちゃ痛かった。もう体験したくない。目も光が強すぎて開けられないし、おぎゃぁしか言えないし、耳は何故か地獄耳だしなんか変な感覚だ。俺の母親なる人も出産で疲れて寝ちゃったし、どうしよう。頭の中の俺は目ギンギンに滾ってるんだが。寝れないんだが。  次の日、家族、親戚が集まり、俺たちの名前の発表された。 「皆、この日の為に集まって頂きありがとう」 「まぁ、なんて可愛い赤ちゃん。フリガムさん抱かせてもらっても?」 「構いませんよ、ヨドロお母さま」  そう言って、兄の方を気をつけながら引き渡す。また俺弟かよ。ていうか、今親父の腕にいるんだけど、筋肉がすご過ぎて寝心地が非常に悪い。早くお母さんの腕に行きたい。 「それでチュードン兄さん。子供の名前はなんなの?」 「あぁ、それでは発表しよう。と、その前にこの話を聞いてほしい。俺たちは子供授かるまで、結婚してから7年が経った。子供が出来たと聞いて、魔物が出る森を叫びながら踊る程嬉しかった」  どんな歓喜の表現だそれは!?つか、実行したのかこの親父!? 「そして、慈愛と敬愛の神は双子だと伝われている。妻と話し合い、名前を決めた。双子の神の名前から取り名付けた。兄、レクロス!弟、エロスと!!」 「あら、チュードンにしては良い名前を付けたじゃない!」 …………止めてくれその名前!変えてくれ!!!!
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