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第1章 『1度目』の人生
人は死ぬと何処に行く?
地獄?天国?
多くの人はその2つを思い浮かべるだろう
ただ、俺は行く場所が少し違ってるようだった。
俺が『この場所』に辿り着くまでの経緯を話させて欲しい。
まず、俺の1度目の人生は、我ながら酷い…いや辛い人生だった。
ん?なんで1度目なんて付けるんだって?それはこの後半に話そう。
アニメや漫画、小説で見る親に捨てられたり、暴力を受けたり、いじめられたりなんて軽いものじゃなかった。
俺は、俺には、産まれた時から動く事も喋る事も見る事も一度もできなかった。
重症に重症を重ねた障害を持っていた。
暴力を受けた、同級生にいじめられて死んでしまった。そんな人達にでさえ周りの人と少しでも関われた事に嫉妬してしまっていた。
俺が産まれて暫くは、これでも我が子という事で 定期的に病院に声をかけに来てくれた。
そう。暫くは。
俺が産まれて約1ヶ月半が過ぎ
両親は痕跡を残さず消えてしまった。
両親がいなくなったとはいえ
人間を見殺しにする事は出来ず
病院で俺は9年間寝たきり生活を過ごした。
もちろん両親と病院以外
俺がここにいる事を知らないから
誰も見舞いになんか来なかった。
不幸中の幸いにも、耳や思考回路はしっかりとしていたので周りの医者が話している言葉を分析し、8年で日本語をそこそこ覚えられた。
耳が聞こえる事を検査でわかっていたから 病院の人達は少しでも楽しませるために病室のテレビを付けてくれていた
そこから聞こえて来るのは、どんな姿かも分からないキャラが主人公のアニメ、毎日のように繰り返される似たような事件のニュース、何が面白いのか分からずただ笑い声が聞こえてくるバラエティ番組。
俺にとっては、ただの雑音でしかなかった。
だが、俺は悔しかった。
ただ、悔しかった。
なんで俺はこんな事に苦しんでるのに
のんきに笑ってるんだ
当たり前のように喋れるんだ
周りの人を傷つけられるんだ
なんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんで
なんでなんでなんでなんで
この悔しさこそ
俺の『2度目』の人生を生み出そうとしていた。
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