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act.2 Distant Memory 遠い日の記憶
きみは覚えてなどいないだろうね。
あの日、きみは身体を張って、僕を助けてくれた。それがどれだけ嬉しかったことか。
深い愛情と、わけ隔てのない優しさをもって、均しく手を差し伸べる心根の美しいきみだから、きっと当然の行動だったのだろう。
けれど僕にとってそれは、自身の考えや秘めたる気持ちを気づかせるほどの、大きな出来事であり転機でもあったんだ。
今だからこそ笑っていられる日常も、過去には酷く辛い思いをさせてしまった。それはこの先一生をかけて、僕はつぐないそして愛し、守り支えてゆくつもりだ。
どうかあの日の僕を許して欲しい。そしてどうか僕を、きみの愛情で満たして欲しい。
もう僕は見失わない。何があっても、きみだけを見つめている。だからどうか、いつまでも僕のそばで、愛らしく笑っていて―――
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