act.1 Promise ぼくの気持ち

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「今日は帰って来ないんでしょ?」 「うん……そのつもり」 「程々にしときなさいよ。いやだったら嫌だって、ちゃんと伊予柑に断わりなさい」 「そ、そんな……わ、分かってるよ」  あからさまに忠言されては居た堪れない。羞恥に顔を染めうつむくぼくを、姉さんはふんと鼻であしらい真彩ちゃんと式場をあとにした。  綾乃さんは理人さんと腕を組み、弓弦さんと慎弥先輩は喧嘩をしながら、それぞれ翡翠の間から退場する。いつの間にかミッキーのすがたもなく、参列者も帰っていった。  残るはぼくと伊織さん、それから……。 「にゃにおう! おれはまだ、秋良を諦めてなどおらん。隙あらばいつでも、かっさらってゆくぞ!」 「はいはい、隙が見つかるといいね」 「にゃにおう!?」 「もうふたりとも、いい加減にしてください!」  さすがに度が過ぎると、あいだを割って入り喧嘩を仲裁する。 「ああ、ごめんね。無駄なことに時間を取られて、秋良を待たせてしまったね」 「無駄とはなんだ、無駄とは! ぐぬぬ……秋良、おれを一緒に帰るぞ」 「寝言は家に帰って、マヌケなインコにでも言いな」 「ちょっと、やめ……痛い痛い」  左腕を伊織さん、右腕を基睦さんに取られると、ぼくは綱引きよろしく彼らに引っ張られる。そこへ息を切らした駆が、ナイスタイミングで現れた。 「ああ、いたいた。やあ、参ったぜ。あいつらマジしつけえの、って、何してんだ?」 「ああ駆、いいところに。助けてよ」 「はあ? 冗談だろ。もう俺クタクタだっつの」  心底嫌そうな顔をする駆は、「それぐれえ、自分で何とかしろ」とこぼし、ぼくを残して去ってゆく。 「そんな……待ってよ――ッ!」  これも一種のまつりの後か。  ぼくの悲痛なる叫びだけが、虚しくも式場内に響きわたり……オチがついた。  act.1 Promise ぼくの気持ち / end
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